豹変上司に初恋中。


「……っ、あ、あの、とても綺麗です!」


その答えに、彼女は口の両端を持ち上げて微笑んだ。

「ありがとうございます」


そこで一度言葉を切って、優しげな眼差しで庭を見つめる。


「……これ、昴さんが選んでくださったんですよ」

「え、」


そこで出てきた意外な名前に驚く。
昴さん、……笹本さん?


「私、少し不安でした」

目を丸くしている私を、女将さんがちらりと見て。

「あのお方が2度も此処へ同じ人を連れてきたのは初めてでしたもの」


意味ありげに、呟くように。
私は意図が読み取れずに、眉をひそめた。


「……仕事関係の方と知って、安心しましたわ」

「!」

痛いところを突かれて、目を伏せた私に、クスクスと笑う声が降ってきた。





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