豹変上司に初恋中。
―――
女将さんが中に戻って、私はただ庭を見つめて呆けていた。
「……笹本さん」
どうして。どういう事?
2人の関係は何?
疑問ばかりがよぎって、泣きたくなる。
ただ、今の私にわかる事。
ああ言われて泣きたくなるほど、自分はあの人の事を好きだという事。
今は違う、けどもしかしたら、笹本さんは彼女に取られてしまうかもしれない事。
そして。
「編集長……昴、さん」
自分は、思っていた以上に欲が深い事。
「……よし」
私が彼を好きだと、バレるのが怖い。
でも、同時に彼が「特定の誰かの恋人」になるのも怖いんだ。
明白なまでの私達の関係。「部下と上司」という関係を、少しでも変えたい。