豹変上司に初恋中。
――
2人談笑している部屋に勢いよく入る。
「呉羽。遅い」
「すいません!」
すかさず私を叱る彼の横で、女将さんが笑ってる。
その光景を、少しだけ複雑な気持ちで見遣った。
……私のこの感情が「変な気」なのかは、私が決める。
私は顔を引き締めて、昴さんの隣に並んだ。
―――
そして、それから1時間ほど取材を続けて。
「よし。これで埋まりそうだな」
私のパソコンを覗き込んで、彼は満足気に頷いた。
「ありがとう。助かった」
そう何度も女将さんにお礼を言って、今日は引き上げる事に。
私達は立ち上がり、その料亭を後にした。