豹変上司に初恋中。
「昴さん」
声からして女の人だということは分かる。
……本当に、この人は女の影が絶えない。
「……」
昴さんはその声に耳を傾けようとせず、そのまま後ろを向いたまま。
「昴くん?」
もう一度、その声は彼を呼ぶ。対して昴さんはやっぱり無視。
呼んでるのに……っ
なんだかその間に居るのもいたたまれなくなって、私は慌てて彼の腕を取った。
「昴さん!」
「!」
突然変わった私の呼び方に、昴さんは驚いたようにこちらを見る。
弁解する間もなく、向こうにいる女の人は近付いてきていて。
「その、」
誰かが呼んでる、と言おうとして、でも、それを言ったら彼はその女の人と? なんて、思いとどまった。
結局口ごもる私に昴さんは息を吐く。