豹変上司に初恋中。
その声が聞こえたのか聞こえなかったのかは分からない。
でも、その人はただ微笑んでいるだけだった。
沈黙が訪れて、それを破るのは、「ちょっと、どうしたの?」という背後からの声。
「あ……じゃあ、私もう行くわね」
「―――……」
「また一緒に食事、行きましょ?」
「良いから、早く行け」
昴さんは、突き放した口調で女の人を追い払う。
残された私と彼の間に、また沈黙がまとわりついた。
「―-悪かったな。付き合わせて」
「へ……あ、いえ」
私を見遣って、また昴さんは微笑む。
「あまり、あいつと関わってほしくないんだ。顔は見られてないな?」
「は、はい……」
ここまで嫌われてるあの女の人って……