豹変上司に初恋中。
「……そういえば、前に言ってましたよね」
「―--?」
「彼女を1人に絞るって話」
確か彼は、もしも1人に絞るとしたら条件を満たす人が現れた時だ、と言っていた。
「今、その話持ってくるか?」
私の問いに、昴さんは苦笑い。
そりゃあそうだよね。
だって、この流れでこの話を出すなんて、自分でも空気が読めてないと思うから。
……でも、不思議だった。
この人の条件はいったい何なのだろう、と。
だって、さっきみたいにあんな美人な人でさえ、あの扱いだ。
これなら、むしろ彼女になるより今の私の立ち位置にいる方が彼に近付けるんじゃないだろうかとすら思ってしまう。