豹変上司に初恋中。
だって、私は昴さんよりも早く見つけてしまった。
『笹本昴』を知らないで、『編集長』に恋をしているかもしれない女の子を。
泣きたくなる私に気付かず、梓は少し困ったように微笑んで、言葉を続ける。
「単純ですよね、私」
「……良いと思う」
「ホントですか?」
「うん……」
だって、私だって似たような事をきっかけに彼を好きになった。
助けられて、その時優しくされて、それから自分の恋心に気が付いた。
ただ、私と梓では決定的に違うことがある。
それは昴さん状態の編集長を知っている事、なんて事じゃない。
「……素直で、可愛いね。梓は」
「先輩……?」
梓ならきっと、直球で好き、と言えてしまうんだろう。
ばれたら傍に居られない、とか。
そんな風に考えてしまう、私とは違うんだ。