豹変上司に初恋中。
「先輩、どうかしましたか?」
「ん? なんでもないよ」
ぐっと涙を飲み込んで、私は立ち上がる。
「私、ちょっと戻るね」
「あ、はい。……あの、今日、ランチ行きますよね?」
「勿論」
私は笑って、休憩室を出る。
「『笹本昴』を見ていない、か……」
じゃあ、私はもう無理なのかな。
「もう、諦めちゃおうかなぁ」
仕事に生きるのも悪くない。
いっそ、そうしたい。
「諦めるって、何を?」
「!!」
不意に耳元で声がして、私は肩を跳ねあがらせる。
この声を間違えるはずない。