びたーちょこれーと。
「あ、凧揚げしてる」
青々とした空に一つだけ、凧が上がっていた。
「どれ?」
覗いてきた椿本の顔が思ったより近くでびっくりした。
でも、これ以上は千咲が居るから離れられない。
気にしないように気を張って、凧揚げを見つめていた。
「凧揚げとか最後にしたのはいつだろうなぁ」
椿本が私を見ながら言う。
「うちも遠い記憶かな」
私も椿本の目を見る。
と、電車が動き出した。
40分近く掛けて二駅を電車で通り、神社へ到着した。