びたーちょこれーと。






話す口実を必死に探し、


「水無月ー、針に糸通して~」
と話し掛けてみた。



「は?長月にやってもらえよ」

水無月は随分不機嫌だ。
まぁ先生が気を利かしてくれないから男子まみれの班に渋々いるんだし、当たり前か。



「俺は自分で精一杯なんだよ…って!!」


望夢は眉間にシワを寄せて指を舐める。


「糸通し使えば?」


水無月は縫いながら言ってきた。

一瞬、水無月の手際の良さに目を奪われていた。


「あ、あ、壊れた」


「長月持ってるんじゃない?」


「あ?いってっ!話し掛けんなよ!また指に針が……」


望夢はダメだ、と水無月は裁縫箱をあさりだした。






< 47 / 304 >

この作品をシェア

pagetop