びたーちょこれーと。






ガシッと腕を掴まれた。


「み、見ないで…!」


もう涙は零れそうなくらい目に溜まっていた。

顔は火照ったまま。



こんな姿、見られたくない。



「俺のこと、嫌い?」

    カ オ
悲しげな表情で長月は私を見つめてくる。

横目で見ながら、うちは静かに答えた。


「嫌いじゃないよ
長月も、長月のピアノも

ありがと…うちのピアノ、良いように言ってくれたの、あんたが初めてだったから嬉しかったよ」


はぐらかしたくて、ピアノの話を入れた。


去年の合唱コンクールは私の伴奏が悪いからダメだったと非難された。






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