もう一度だけ。
- 倖凱side -
少し話した後俺は体育祭の片づけをするために生徒会テントに向かった
「なぁお前佐伯の事なんか知ってんだろ」
突然肩を掴まれて話しかけられた相手は俺と美舞の人生を狂わせた原因のうちの1人だった
「佐伯・・・?あぁさっきのカツラの・・・」
あくまで俺はコイツには何も話す気は無い
ましてや話したところで何にもならないし余計辛いだけだ
「とぼけんなよ!」
睨みとともに肩を揺さぶられて俺はちょっと怯んだ
「とぼけては無いんだけどね」
いたって静かに返事をするとそいつは俯きポツリポツリと話し出した
「もしかしたら佐伯・・・俺の知ってる人かも。
大切な人かも。手放したくない人かもしれないんだ・・・
だから―――ッ!?」
俺はいい加減我慢の限界だった
「ふざけんなよ!」
「・・・・・・・・ふざけてねぇよ」
「お前に何が分かんだよ!
元はといえばお前が原因なのにへらへらしやがって・・・ッ
美舞がどんな思いでお前等と絡んでたのか分かってんのかよ!分かんのかよ!!」
「わかんねぇよ・・・」
「だったらこれ以上深入りすんな
お前も傷つくぞ・・・」
「は?」
「失ったもの思い出すなんていやだろ・・・」
「失ったもの?」
やば・・・言い過ぎた
「なんでもねぇよ忘れろ」
「なんでもなくねぇよ!最後まで言えよ!」