僕らが今いる今日は
ようやく、課題も提出し着替えてグラウンドまでアップ替わりに走っていく。



学校の校庭には野球部とサッカー部が陣取っていて、とても陸上部が走るスペースがない。

幸い、学校から走って15分のところに陸上用のトラックがあるグラウンドがあるため、陸上部はそこまで移動して練習している。



陸上はトラックを走る競技、練習も当然トラックを走らなくてはならないから逆に都合がいい。

しかし、当然ながら近くの高校はそこを利用しているため人は多い。


「やっと、来たか」


グラウンドに着くと、1年生の面倒に疲れたという表情で桐島がこちらに寄ってきた。

うちの陸上部は3年生、つまり俺たちの学年の男子部員は俺と桐島の二人しかいない。

二人しかいないので後輩の面倒を見るとは大変だが、桐島はそのほとんどをいつも一人で上手くやってくれている。


「適当に書いて、仙蔵のじいさんがいない隙に机の上に置いてきた」


結局、絵は教室で書いた。

あんなことがあるんだったら美術室になんか行かなければ良かった・・・


「随分と機嫌が悪そうだな」


「分かるか?」


桐島はこういうことに気付くのが上手いが、今の俺はきっと余程の鈍感な奴ではない限りは機嫌が悪いということに気付くだろう。
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