僕らが今いる今日は
「お前、馬鹿か」


すぐに乗せた手を呆れたようにため息をつきながら桐島はどかした。


「俺はただお前と・・・」


そこまで言いかけたところで、何かを閃いたように言葉を止めた。

そして、少し考えて一人で納得したように二度三度と頷いて小さい笑みを作った。


「いや、何でもない・・・

これで、こいつと平岡が仲良くなればそれでいいか」


「何だよ、照れるなよ。

ほら、そろそろ４継の招集時間だろ」


最後のほうは何を言っているのか聞き取れなかったが、そろそろ大事な４継の準決勝の招集時間だ。

この準決勝にはもちろん桐島がメンバーの男子も出場するが、今日の坂高陸上部にとっては女子のほうがメインとなるだろう。


「あいつらの最後・・・

精一杯応援して、ちゃんと見届けないとな」


二人で足並みを揃えるようにしてサブトラックから競技場へと向かった。
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