僕らが今いる今日は
バトンが高津から2走へと渡った。



2走の宮前は200メートルと400メートルの選手。

高津とは正反対で負けん気の強く、どんな辛い練習でも根を上げずに最後まで誰よりも声を出してきた。

女子だけでなく男子ですらその声に励まされ、どれだけ辛い練習を乗り切ってこれただろうか。



その性格から何度も何度も先輩たちと衝突して、喧嘩沙汰になりそうになったこともある。

その姿が俺たちにどれだけの勇気を与えてくれただろうか。



自分の種目が近付いても、常に後輩やみんなを大声で応援してきた。



レースが終わったあと、自分でなくとも人目をはばからずに大声で悔しがった。



宮前は中学時代は短距離では有名な選手だった。

宮前と麻生が入ってきて、和美ちゃんが「古豪・坂高の復活の学年だ」と何度も喜んでいたことを覚えている。

だけど、宮前が県大会以上の大会を走る日は無かった。

入学してから度重なる怪我に見舞われ、その度に宮前のスプリント力は輝きを失っていた。

それでも陸上部を辞めることなく、練習し続けてきたのは自分がどれだけ周り影響を与えるか自覚しているからだろう。

人は決して折ってはいけない芯があり、それを大事にしてきた宮前の強さ・・・



本当に尊敬している。
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