僕らが今いる今日は
麻生の手にはやはり力が入り、唇を噛み締めている。

一緒に頑張ってきた仲間だ、悔しく、腹立たしくないわけがない。

だけど、ここは桐島に任せるというの最善だという判断で我慢をしているのだろう。

しかし、今の桐島は明らかにいつもと様子が違っているが大丈夫だろうか。


「行くぞ、高津」


ひつこく進路指導室へと導こうとする手を軽く振り払い、高津の腕に手を掛けた。


「何だ桐島、その反抗的な態度は」


「別にそういうつもりはありません。

ただ、まだこれからミーティングがあるので、進路のことは後日でお願いします」


さすが桐島。

さっきは心配したけど、余計な心配だったらしく、この対応は桐島だからこそできるものだ。


「お前ら、まだ部室に行ってなかったのか。

ミーティングを始めるから早くしろ」


和美ちゃんのその声でようやく進路の話をすることを諦めたのか、舌打ちをして後ろを振り返り立ち去ろうとした。


「すみませんね、先生。

ただ、もう少し部活というもの、部活にかける生徒の気持ちを理解してあげてください」


そう言って、和美ちゃんは部室のほうへと向かった。

それに俺たちも続いた。


「桐島、やるときはやるじゃん」


麻生が桐島の胸に軽く拳を当てると、桐島は恥ずかしそうに足早に部室に向かった。
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