僕らが今いる今日は
それは今まで抱いていた木原望とは大きく違い、こちらのほうが本当の彼女だろうと勝手に思った。


「5000mお疲れさま。1位は1位だから胸を張っていいと思うよ」


前にきたメールでもそうだったが、木原望は本当に人の感情を読み取るのが上手いと思う。

そして、それに対する言葉を上手く導き出せる人だ。


「あと、私は相澤くんのほうがお似合いだと思うから。

応援しているよ、頑張って」


言葉と同じくらい力強く両手を握り締めて木原望は帰っていった。

最後の言葉は一体どういう意味なのだろう。


「おい、相澤。

ミーティング始めるよ。

和美ちゃんが怒っているから早く来いよ」


廊下の窓に少しだけ身を乗り出し、宮前がこちらに手招きしている。


(もう少し、ちゃんと木原さんと話してみよう)


そう思い、部室へと戻った。
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