僕らが今いる今日は
口が言葉を出すことを忘れてしまったかのように何も言葉が出てこない。



足が動くことを忘れてしまったかのようにその場に立ち尽くす。



まるで時間が進むことを忘れてしまったかのように時が止まった。



実際には時は止まっていないのだろうが、確かに俺のなかで時は止まっている。


夕暮れに映え、オレンジ色の美術室に一枚の絵


その絵こそが、俺の時を止めてしまったものだ。



空き瓶にポット、靴と何冊かの本に植木鉢、そして傘。



美術的なことは何一つ分かっていない俺だけど、一瞬にしてこの絵に惹き付けられてしまい、その場から動けなくなってしまった。


「すげえ」


ようやく、言葉が出てきた。

単純な言葉だが、今の俺にはこれしか出てこず、そして今の俺にはこの絵に対する最高の言葉だ。
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