カランコエ
11月17日
あの日の事は、今でも鮮明に覚えている。
心に絶望と恐怖が訪れたのは本当に一瞬で、何もかもが恐く見えた。
小さなものを奪った黒い塊は得体のしれないものに見えて、赤い夕焼けには更に濃い赤が増えて、震える足は自分のものじゃないように思えて。
叫び声すら恐ろしくて、ただひたすらに走って逃げた。
手に小さな、星を掴んで。
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