華麗なる偽装結婚
俺の手を取り阿美子がふわりと微笑み返してくる。
それだけで胸が苦しいような感覚になる。
俺は彼女を連れてフロアーへと進んだ。
彼女を胸に抱えてステップを踏み出す。
…どこで覚えたのか……、彼女は可憐にクルクルと舞う。
「……。
阿美子ちゃん、上手いんだね。
どうしてダンスの仕方なんて知ってるの」
小声で訊ねる。
「大学のサークルで少し。
だけど随分昔だから思うように足が動かないわ」
照れたように彼女が答える。