華麗なる偽装結婚
四・結婚式〜揺れる心〜



――その日は朝から目映いばかりの光が窓から射し込む明るい始まりの日だった。


まるでこれから始まる信じられないドラマの幕開けを祝福するかのように………。


――「だけどさぁ、初めに聞いた時はそりゃあ驚いたわよ。

阿美子と社長が結婚するだなんて。

ねぇ、たっちゃん」


花嫁控え室で同僚である専務秘書の渡部 かすみが大袈裟に言う。


「そりゃあね。
俺なんて阿美子にこの仕事を紹介したんだから、結果的にものすごくいい事をしたんだぜ。
お前、感謝しろよ〜。

俺に足向けて寝られないぜ」


その隣から幼なじみの達郎が得意気に言う。





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