華麗なる偽装結婚
見上げたそこにあったのは心配そうに私を見下ろす佐倉 陸の顔。
「……あ、…あ、すみません。
私……」
狼狽えながら身体を起こす私に彼は優しく微笑んだ。
「いいんだよ。
……驚くよね、……全く…。
……困った兄さんだね…」
陸さんはドアの隙間から部屋の中をそっと見て言った。
「……いいのよ。
……いいんです、分かっているから。
少し、驚いてしまって」
私は慌てて笑顔をつくりそう言った。
陸さんは困った顔で私を見て黙り込む。