華麗なる偽装結婚
そもそも、心は縛れないと主張したのは私の方だ。
誰と何をしようとそれを浮気とは呼ばないと。
偽装なのだから形だけで済ませようと。
「……阿美子さん……、無理しないで。
俺はあなたの…味方になるよ。
何でも話して、って言ったでしょ」
そう言ってふわりと笑う、その陸さんの笑い方が社長と重なる。
……似てる。
やっぱり従兄弟ね。
社長もそうやって、これまで何度も笑いかけてくれたわ。
それを失いたくなくて、こんなバカな話に同意した愚かな自分。
バカね。何を期待していたの?
気持ちを打ち明けてどうするつもりだったのよ。