華麗なる偽装結婚
何も変わらない。
ただ、失うものが出来るだけ。
受け入れられたりなど、決してしない。
私が彼の妻になる事は、全て会社のためだもの。
「……泣かないで。
きっと……、いつか何とかなるよ」
「……う……」
そう言って陸さんが私をそっと抱き寄せてくれる。
涙を流すなんて、どうしてだろう。
今まで何とか堪えてきたのに。
ただ、陸さんの胸の温かさが心地いい。
社長に恋した事の全てが消えて無くなればいい。
私は初めてそう思った。