華麗なる偽装結婚
「……あ。兄さん。
……駄目じゃないか。式の直前に花嫁以外の女性を部屋に入れちゃ。
阿美子さんが少し驚いてしまったみたいで」
「……え……」
陸は楽しそうにクスクス笑いながら俺を見てそう言った。
……え……、見ていたのか…?
ちが……、
「阿美子、違うんだ、葉子は……」
俺が話し始めると阿美子が陸の胸から初めて顔を上げて俺を振り返った。
「……嫌だわ、私ったら…。
ごめんなさい、怜。
何でもないのよ。
少し緊張して陸さんに寄りかからせてもらっただけなの。
陸さん……、ありがとう。
もう平気よ」