華麗なる偽装結婚


彼女は小さくニコリと俺に笑いかけてから、スッと顔を背けて歩き出した。

「阿美子、顔色が悪いよ。
…俺の部屋で休んで……」


「必要ないわ」

クルリと振り返ってそう言った阿美子の目が悲しげに歪んでいる。


何故…?

例え葉子と過ごした様子を見ていたとしても彼女が傷付くはずがない。

俺を軽蔑し、男として見るはずのない彼女が…。





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