華麗なる偽装結婚


うっすらと瞳を開いて阿美子の顔を見る。

その瞳は見開いた状態から次第にとろりと瞼が重くなり、……
……やがてそっと閉じられた。


俺を押すように胸に当てられた彼女の手からそっと力が抜けて、
……すとん、と落ちた。


彼女は何故、俺の部屋に来たのだろう。
何か言いたい事があったのだろうか。


これから始まる嘘の毎日を恐れ、今更ながらに俺との距離を縮めようとでも思ったのか。





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