華麗なる偽装結婚
――駄目よ。
彼の言葉を信じたら。
きっと、そうではないと分かった時に立ち直れない。
これは社長にとってはゲームなの。
手に入れるための。
彼にときめかない女なんていない。
思い通りにならない偽善の花嫁が憎らしくてたまらないだけなのよ……!
「……阿美子…?」
私の気持ちが壊れ始める。
涙が溢れてその殻が少しずつ砕け落ちそうになる。
好き。誰よりも。
あなただからこそ、このバカな話に同意したの。
本当は気持ちを全て打ち明けてその甘い言葉を信じたいの。
三ヶ月なんて言わないでずっと社長の側にいたい。
「…う…っ……」
「………」
社長は私の頬を伝う涙をそっと唇で拭った。
…優しくしないで。
お願いだから……。
そんな風に私の心を…乱さないで。
終われなくなってしまう……。