華麗なる偽装結婚
「あ、そうですね。
お出かけならお車の手配を致しますが」
私は平静を装って告げた。
「いや、いいよ。
自分の車で行くから。
二時までには戻るよ」
「行ってらっしゃいませ」
頭を下げて脇に下がる。
「……。
何言ってんの…。君と出かけるんだよ」
「は」
「さ。行こう」
「あの。何処へ?」
「デートだよ」
「いや、あの、いいんですよ?
彼女達とお会いになっても私、なんとも思いませんから。
どうぞ、お好きな方と。
何でしたら連絡してみましょうか。
どなたと出かけます?」