華麗なる偽装結婚
「いいよ、彼女達は。
今日は君と一緒にいたいんだ」
……そうよね。
……結婚式から一週間。
社長は家には帰って来てはいない。
きっと、夜な夜な美女との熱い夜を過ごしてる。
「………。分かりました。
お供致します」
私は彼の前を横切り部屋を出た。
嘘の結婚であると納得して始めた今の生活。
だけど自宅で一度も顔を合わせないなんて、普通じゃないわ。
…まあ、そもそもが普通ではないけれど。
私が寂しく思ったり、腹立たしく思ったりする権利なんてない。
それは社長も分かってるはず。
だけどまるでついでみたいに、埋め合わせるように今、私を誘う彼が理解出来ない。