華麗なる偽装結婚
「…………」
つい感情的になってしまった事を激しく後悔する。
あれでは私以外の女性と口を聞かないで、と訴えているようなものだ。
まるで恋愛結婚でもしたかのように。
今の私達にお互いの行動を制限するような愛の軌跡は皆無なのに。
「……テラスに出てみない?
湖が綺麗なんだ」
ここは会社から車で一時間ほどの距離にある高級別荘街。
真っ白な洋館風の落ち着いた家の裏側には大きな湖が広がる。