華麗なる偽装結婚
「俺さ、実は……どうしたらいいのか、分からないんだ。
家で、君と二人でいるところが想像出来ない」
テラスの手すりによりかかり湖を見つめながら社長が言った。
「……どうして?」
「……君と過ごした時間は今まで出会った女性の中では最も長い。
だけどそれは秘書としての君だ。
妻として君が俺の目にどう映るのか……
……怖いんだよ」
「怖い?」
「時々勘違いしそうになる。
俺が君を…愛していて、
君も俺を好きでいるような……そんな気持ちになってしまう」