華麗なる偽装結婚


「俺さ、実は……どうしたらいいのか、分からないんだ。

家で、君と二人でいるところが想像出来ない」


テラスの手すりによりかかり湖を見つめながら社長が言った。

「……どうして?」


「……君と過ごした時間は今まで出会った女性の中では最も長い。
だけどそれは秘書としての君だ。

妻として君が俺の目にどう映るのか……

……怖いんだよ」


「怖い?」


「時々勘違いしそうになる。
俺が君を…愛していて、
君も俺を好きでいるような……そんな気持ちになってしまう」





< 176 / 252 >

この作品をシェア

pagetop