華麗なる偽装結婚
「………」
社長は黙って私を見つめている。
私も彼の澄んだ瞳をじっと見返した。
………罪の意識をどうか感じないで。
私にとっては大いに幸せで意味のある事なの。
一方通行でも、期限があってもいい。
社長の側に無条件でいられる。
それだけでいいの。
「………そうだよね。
君にとっては迷惑な話だ。
分かった。
気持ちをリセットしてやり直そう。
今日から家に帰って君と楽しく過ごすよ。
…妻じゃなくて、…同居人として君を見る。
夫婦ごっことは言え結婚したんだという事実が頭から離れなかったんだ。
君も、夫じゃなくて、……そうだな、俺を兄みたいに思ってくれたらいいかな」