華麗なる偽装結婚
フッとお互いに笑みを溢してから社長の隣まで歩み寄り、並んで湖を見る。
この二人静かに風と景色に包まれる時間がいつまでも続いてほしい。
何十年経っても隣にこうしてあなたがいたなら……。
……………。
……やめよう。
叶わぬ幻想は別れを辛くするだけ。
今は社長との日々を少しでも楽しく過ごせたら。
「社長」
「ん?」
「今夜は社長の好きな和食にします」
「おお?
歓迎してくれるの。
嬉しいな。
じゃあ俺もお土産を買って帰ろう」
「余計なものはやめて下さいよ。
変な置物とか。
置き場に困りますから」