華麗なる偽装結婚
「どうしたの」
社長の冷たい指がそっと頬に触れる。
「………」
駄目。
泣いたりしちゃ。
社長が困ってる。
だけど………、……。
どうしたらいいの。
……社長が好きなの。
どうしたら嫌いになれるの?
彼の側にいたい、という気持ちが私から愛を告げる機会を奪った。
偽装結婚が真実を重く隠していく。
望んだらいけないの。
社長は私のものにはならない。
だけど少しでも油断したなら気持ちが……溢れ出す。