華麗なる偽装結婚


「……陸!」


阿美子は驚いた顔で陸を見ている。

「お前、そういう事を言うなって前に………」


「もしも、だよ。
兄さんは一人の女性で満足する男じゃない。
阿美子さんにも逃げ道を与えなくちゃ。

自分ばかり見ていちゃ奥さんは大変だよ。

帰らない相手を待つなんてそんなの、阿美子さんが可哀想だからね」


「何も俺は……」


「あれ。…結婚してから家に帰ってなんていないんだろ。

自分は何処で何をしようと阿美子さんの事はお構い無しか。

俺なら愛しい妻にそんな思いはさせないね」





< 193 / 252 >

この作品をシェア

pagetop