華麗なる偽装結婚
「……陸!」
阿美子は驚いた顔で陸を見ている。
「お前、そういう事を言うなって前に………」
「もしも、だよ。
兄さんは一人の女性で満足する男じゃない。
阿美子さんにも逃げ道を与えなくちゃ。
自分ばかり見ていちゃ奥さんは大変だよ。
帰らない相手を待つなんてそんなの、阿美子さんが可哀想だからね」
「何も俺は……」
「あれ。…結婚してから家に帰ってなんていないんだろ。
自分は何処で何をしようと阿美子さんの事はお構い無しか。
俺なら愛しい妻にそんな思いはさせないね」