華麗なる偽装結婚


「……違うんだ、それは…」


陸のストレートな言い方に反論出来ない。

しかし何でこいつはここにいるんだ?

俺は不思議に思いながら陸を睨み付けた。


「おやおや…、そんな目で見ないでよ。

仕方ない、本当の事を言うか。

実は、兄さんの車が会社から出るのを見て後をつけてきたんだ。

………話があって」



「………話?……何だよ」



陸はスーツのポケットから手を出すとそのまま煙草に火を付けてスッと煙を吐き出した。



「………この前の話の続きだよ。

ねえ、阿美子さん、正直に答えて。

これは……偽装結婚なんじゃないのか」


「……は」

「陸!」


………何でわざわざこんな所まで来てそんな話を……。



「俺さ、本気なんだよね。
本当に阿美子さんが気に入ったんだ。


俺と……結婚してほしい。

偽装、じゃなく本物の」


………!!


「…り……陸さん…?
な、何を」






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