華麗なる偽装結婚
「あ、もちろん会社はいらないし、それ以外に何も望みはない。
………君の心以外は」
「陸さん……。
そんな…。
あの、違うんです。私と社長は偽装なんかじゃ」
「もういいよ。
これ以上嘘を重ねる必要はない。
君にとってはさぞや辛い事だっただろう」
「陸!嘘じゃない」
「嘘だよ。
これは偽装結婚だ。
二人は愛し合ってなどいない」
「黙れ!!」
「怜!」
ガッ!!
俺は次の瞬間、陸の顔を殴りつけていた。
「……いっ……」
陸は口を拳で押さえて床から起き上がろうとしている。
「陸さん!」
そんな彼に俺の後ろから阿美子が駆け寄る。