華麗なる偽装結婚

俺は阿美子の手を強く握ると陸をそのままその場に残して歩き出した。


そのまま家を後にして彼女を俺の車に押し入れドアを閉める。

自分も運転席に乗り込むと力任せにギアを入れて猛スピードで発進する。



「きゃ！」


俺は明らかにイラついていた。


阿美子が欲しいと俺の目の前で言った陸にも、
そんな陸を拒絶しなかった阿美子にも、
陸の言葉に返す言葉がなかった自分にも。


結果、阿美子を連れて逃げ出した。

俺に阿美子を引き止める権利も、理由もない。