華麗なる偽装結婚



………嫌だ。

陸が阿美子にこんな事をするなんて。

その甘い吐息を俺以外の男に浴びせるなんて。


俺の………、
彼女は、俺のものだ。

誰にも渡したくない。

公私に渡り俺以外の男に近付けたりなどしない。


そっと唇を離し、そのトロリとわずかに開いた瞳を見つめる。


「………阿美子……」


「……社長……、何故…」


「君は……俺の妻だから…。

今は、まだ」


「…………。
それだけ……?」


………それだけじゃない。
君が好きなんだ……。



――「他に理由が…?
それだけだよ」


「………」







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