華麗なる偽装結婚
思わず自信のなさが弱気な言葉になって飛び出す。
会長…、ごめんなさい。
こんな騙すような事…。
私が社長の側にずっといられる事はないの。
やがて離れていくの。
今言った事は本当なんです。
私以外の誰かがこの先、きっと社長と幸せに暮らしていくわ。
「…あの……、気分が少し…。
ちょっと失礼致します」
私は目頭を押さえてそう告げると、慌てて部屋を飛び出した。
もう無理よ。
涙が今にも吹き出そうになっていた。
今までどうして平気な顔で平然と気持ちを隠して来れたのだろう。