華麗なる偽装結婚



「文彦も………お前によく似た子供だった。

わしの前では強がって決して我が儘を言わなかった。

そんなあいつを重圧や責任から解放したくて、わしがどれだけ骨を折ったかお前には解るまい」


!!!


「あなたのその余計な気持ちが父さんを病気にするほどに苦しめたんだ」


俺はじいさんを睨んで絞るような声で言った。


「………わしを恨むのは自由だが、……阿美子さんはそれとは関係ない。

……お前は……彼女を愛しているんだろう?

言いたい事を言わずにいると後悔するぞ。
わしと……文彦のようにな。

彼女と……本物の夫婦になりなさい。
気持ちを隠さず言ってあげるのじゃ」


「………!!!」


………じいさん?
……何で……。





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