華麗なる偽装結婚
俺はガタッと立ち上がると部屋を飛び出した。
部屋を出る瞬間にじいさんの笑い声が微かに聞こえた。
「阿美子!」
フロアー中を駆け回る。
彼女の姿はどこにもない。
何処へ行ったんだ。
焦りと苛立ちに気持ちが支配される。
……ふと、エレベーターに目を遣る。
位置が一階で止まっていた。
…降りたのか…?
眼下の駐車場を窓から見下ろすと……、
阿美子が誰かと歩いていた。
……陸……?
二人はそのまま陸の車に乗り込むと、スッと駐車場から出て行った。