華麗なる偽装結婚




――「お帰り。意外と早かったね」


私がマンションの扉を開けた瞬間、玄関先に社長が壁に寄りかかり腕を組んで立っていた。


「…!し…社長…、ずっとここに?」


「まさか。鍵を開ける音がしたから。

デートは楽しかった?」


「え」


「陸と出かけてたんだろ。
逃げ道は確保出来たかい?
離婚後の」


「なっ…何を」


「それで?
陸と何をしていたの。
キスくらいはした?
こんな風に?」


突然、社長が私の肩を掴んで強引に唇を塞いできた。

「!!!!」






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