華麗なる偽装結婚
優しさも、いたわりも、愛情も……。
何も感じない、責めるような口づけに涙がまたしても滲んでくる。
こんなのは…、間違っている。
私達はこんな風にするべきではない。
だけど。
例えそれが何の意味も持たない行為でも…、私は拒んだりなどは出来ない。
あなたの心の中に少しでも私の存在を垣間見る事が出来るから。
私はそっと社長の首に両腕を回すと、彼にしがみついて自分からも彼を求めた。
好き。
どうしようもなく。
自分で自分が分からなくなる。
どうしてあなたは何事もなく過ごさないの?
こうして唇が触れる度に私の心には焼けつくような愛が刻まれていくのに。
残酷だわ。
いずれ離れていくと分かっていて。