華麗なる偽装結婚


「……陸には……渡さない」


「……」


社長の言葉に陸さんへの憎しみが表れている。

彼の手が私のブラウスのボタンにかかる。


「君は……俺のものだ」


「……」


あなたの恋愛の仕方は分かっているわ。

相手を征服し、心の奥から全てを奪う。
その後で空になった女の心の空いた部分に甘い蜜を隙間なく流し入れて、身動き出来なくする。



ひどい男だわ。

信じられない。

私までそんな目に遇わせようとするの?


だけど、…欲しくてたまらない。
あなたの甘い蜜を吸いたくて息が途切れそうになる。


「………怜…」


自分から手を伸ばして彼にその先をねだる。






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