華麗なる偽装結婚


偽装結婚。

何て罪な秘め事かしら。

愛もない。
真実もない。


あるのは、嘘と幻だけ。


分かっているのに彼を求める。
乾いた身体が愛を欲しがる。
それが偽りのまやかしであっても。



「…阿美子……」


彼の唇が私の首筋から徐々に身体を這い回る。

愛しい人。

どうか今だけ私を見て。

あなたの全てに触れてみたい。



彼はそっと私を包むように抱き上げると、寝室に向かって歩き出した。





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