華麗なる偽装結婚
潤んだ瞳で彼を見上げる。
「陸と……どこに行ってたの」
私を見下ろす社長の目がゆっくりと瞬きをする。
ぞわっと背中に痺れが走る。
「……カフェで…コーヒーを飲んだだけです」
「…それだけ?
こんなに長い時間?」
「それだけよ。
…話を聞いて…もらっていたから。
陸さんにははっきりと言いました。
あなたを好きにはなれないと。
彼も分かってくれたわ」
「…信じられないな」
言いながら彼の指がゆっくりと私の服を剥いでいく。
「……信じてくれなくて結構です」
私はプイッと横を向いた。
「信じさせて。
……一度でいい。
俺を愛してる、…と言ってくれないか」
私は顔を再び正面に向けた。
「……え」