華麗なる偽装結婚



彼の瞳がねだるような視線を私に向けてくる。

艶めいた視線に頭がクラクラしてくる。

どうしてそんな風に見つめながら、そんな事を頼んでくるの…?


「………出来ません……」


口にしたなら、もう戻れなくなる。
抑えている気持ちが溢れて、あなたに向かって押し出される。


「…駄目なの?
聞いてみたいな…。
その唇から、愛を囁かれてみたい……」


………やめて…。

彼の指が私の唇をそっとなぞる。

指を離して今度は柔らかい唇がなぞってくる。


「……ん……あ…」


官能的なその仕草に息苦しくなってくる。


いいのだろうか……。
今なら、素直に気持ちを告げても、夢の中の出来事のように終われるだろうか。



「………怜……、
………愛してる………」






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