華麗なる偽装結婚


「それは陸さんに対しての闘争心からですわ…」

「……そうかな。
……俺も…そう思っていた」


………。
そうよ。

今あった出来事も含めて全て、彼にとっては想定外の出来事だった。

結婚した、という事実に、このままではいけないと思わせる強い力が働いているだけ。


私はベッドから降りると涙をサッと拭って笑顔をつくった。


「社長、お約束の和食、すぐにご用意しますね。
お腹がお空きでしょう」


「待って…阿美子ちゃ…」


「社長も手を洗って着替えて下さい。
私は先に行ってますから」


何かを言いかけた彼の話を遮るように立ち上がる。





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